リンパ浮腫研修 E-LEARN

リンパ浮腫研修は、医師、看護師、理学療法士、作業療法士の医療スタッフがチームとしてリンパ浮腫の予防や治療に関する取り組みを実施する上で必要な基礎知識を習得することを目的としています。この研修はリンパ浮腫研修運営委員会で決定した『専門的なリンパ浮腫研修に関する教育要綱』に沿って、医療専門職がリンパ浮腫の理解と適切な指導をおこなうのに必要と考えられる座学(33 時間以上)が習得できる内容となっております。

お知らせ

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2024年度リンパ浮腫研修 E-LEARN 募集要項

募集要項

2024年4月下旬~5月上旬頃に公開予定

研修に関するお問い合わせ先
一般財団法人ライフ・プランニング・センター
リンパ浮腫研修事務局
TEL:03-3265-1907(平日9時~17時)
Mail:lymphedema◆lpc.or.jp
◆を@に置き換えてください

2024年度リンパ浮腫研修 E-LEARN プログラム紹介

準備中

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リンパ浮腫研修 運営委員のご紹介

2024年4月 (団体名五十音順)

団体名氏 名所 属
運営委員長辻 哲也慶應義塾大学 医学部 リハビリテーション医学教室
一般社団法人
日本がん看護学会
熊谷 靖代野村訪問看護ステーション
一般社団法人
日本がん看護学会
増島 麻里子千葉大学 大学院看護学研究院 高度実践看護学講座
特定非営利活動法人
日本緩和医療学会
奥 朋子訪問看護ステーションフレンド
特定非営利活動法人
日本緩和医療学会
田尻 寿子静岡県立静岡がんセンター リハビリテーション科
一般社団法人
日本形成外科学会
秋田 新介千葉大学医学部附属病院 形成・美容外科
一般社団法人
日本形成外科学会
木股 敬裕岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 形成外科
一般社団法人
日本作業療法士協会
高島 千敬広島都市学園大学 健康科学部
リハビリテーション学科
一般社団法人
日本作業療法士協会
吉澤 いづみ医療法人財団 順和会 山王病院
リハビリテーションセンター
一般社団法人
日本静脈学会
岩田 博英いわた血管外科クリニック
一般社団法人
日本静脈学会
小川 佳宏医療法人 リムズ徳島クリニック
一般社団法人
日本乳癌学会
菰池 佳史近畿大学 医学部 外科学教室
一般社団法人
日本乳癌学会
渡邊 知映昭和大学 保健医療学部 看護学科
公益社団法人
日本婦人科腫瘍学会
宇津木 久仁子公益財団法人がん研究会 有明病院
健診センター 検診部
公益社団法人
日本婦人科腫瘍学会
小林 範子北海道大学病院 婦人科
公益社団法人
日本理学療法士協会
高倉 保幸埼玉医科大学 保健医療学部 理学療法学科
公益社団法人
日本理学療法士協会
山本 優一公益財団法人仁泉会 北福島医療センター
リハビリテーション科
公益社団法人
日本リハビリテーション医学会
杉原 進介独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター
骨軟部腫瘍・整形外科
公益社団法人
日本リハビリテーション医学会
田沼 明順天堂大学医学部附属静岡病院
リハビリテーション科
日本リンパ学会河合 佳子東北医科薬科大学 医学部 生理学教室
日本リンパ学会佐々木 寛医療法人徳洲会 千葉徳洲会病院 婦人科
一般社団法人
日本リンパ浮腫学会
小川 佳成大阪市立総合医療センター 乳腺外科
一般社団法人
日本リンパ浮腫学会
北村 薫アムクリニック
一般社団法人
日本リンパ浮腫治療学会
重松 邦広国際医療福祉大学三田病院 血管外科
一般社団法人
日本リンパ浮腫治療学会
保田 知生独立行政法人地域医療機能推進機構
星ヶ丘医療センター 循環器外科
一般財団法人
ライフ・プランニング・センター
前川 二郎公益財団法人藤沢市保健医療財団
藤沢市保健医療センター
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リンパ浮腫研修運営員会 委員会代表から

「リンパ浮腫研修運営委員会の目指すもの」

リンパ浮腫とはリンパ管やリンパ節の先天性の発育不全、または二次性の圧迫、狭窄、閉塞などによって、リンパ流の阻害と減少のために生じた浮腫のことです。がん治療後の続発性リンパ浮腫は、全リンパ浮腫患者の約80~90%を占めています。原因となる疾患は、乳がん、子宮がんが多いため、患者の90%以上は女性です。術後に発症するリンパ浮腫の発症率は、わが国では乳がん術後で約10%、子宮がん術後で約25%と推測されており、年間1万人前後がリンパ浮腫に罹患すると推定されています。

本疾患は医療者側の認識不足もあり、適切な治療がなされず放置されると徐々に進行することが多く、浮腫の悪化で仕事や家事に支障が出たり、醜い手足を隠して生活しなければならないといった苦痛など、QOLを低下させる切実な問題です。しかし、リンパ浮腫の病態を十分に理解して発症早期から適切な生活指導・治療を行えば、それ以上の悪化を防止することができます。たとえ進行例であっても浮腫を改善させることは可能です。最近では患者会が中心になって研究会なども開催され、インターネット、TV、新聞などのメディアで取り上げられ、リンパ浮腫治療のための患者向けの解説書もいくつか出版されるようになっていますが、我が国で現在、リンパ浮腫に対して積極的に治療を行っている医療機関は全国でもごくわずかです。

リンパ浮腫の治療を行うためには、リンパ浮腫の病態生理や診断方法、治療法に関する理解、リンパドレナージやバンデージ法の手技、治療効果の判定方法、実際の外来運営方法等、職種や立場に応じた様々な知識や技能が必要ですが、専門的にリンパ浮腫に関する研修を行っている医療機関はごく限定されています。当委員会は、リンパ浮腫の専門の方々に集まっていただき検討を重ね、リンパ浮腫に対する取り組みの標準化、研修のカリキュラムの作成、研修の実施を目指しています。

リンパ浮腫研修運営委員会代表
慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室  辻 哲也

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リンパ浮腫研修体制、資格制度に対するワーキンググループの決定事項

  • 平成23年6月に「専門的リンパ浮腫研修に関する教育要綱」をまとめました。
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リンパ浮腫研修運営委員会による合意事項

委員会では、リンパ浮腫の予防や治療における重要事項および用語に関して統一が必要と考え、別紙合意事項を作成いたしました。わが国の標準的なリンパ浮腫治療を確立するためにはこれらの認識を共有することが重要と考えています。

初版 2010年10月
改定 2011年  6月
改定 2020年  3月
改定 2021年10月

厚生労働省委託事業がんのリハビリテーション研修(2007年度~2012年度)
厚生労働省後援事業がんのリハビリテーション研修(2013年度~)
リンパ浮腫研修運営委員会


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1.リンパ浮腫の予防におけるリンパドレナージ、弾性ストッキング・スリーブの扱い

現在のところ「リンパドレナージと弾性ストッキング・スリーブなどの圧迫療法が予防に有用」というエビデンスはない。
乳がんや子宮がんなど婦人科がんの手術後にリンパ浮腫の予防に必要だからという理由で、リンパドレナージや弾性ストッキング・スリーブをすべての患者に指導し、施行を義務付けている施設がある。しかし、強制されている患者には大きな苦痛となるためこれはおこなうべきではない。

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2.リンパ浮腫治療における日常生活指導の重要性

従来、リンパ浮腫治療には「複合的理学療法」が有用とされてきたが、これのみでは不十分であり、長時間の立ち仕事を避ける、時に患肢を挙上するなどの日常生活指導を加えることが重要である。したがって、「複合的理学療法」に日常生活指導を加えた「複合的治療」(または「複合的理学療法を中心とする保存的治療」)がリンパ浮腫に対する標準的治療である。

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3.リンパ浮腫治療におけるシンプルリンパドレナージの扱い

通院治療が主体であり、用手的リンパドレナージを実施できる医療施設が少ない日本では、患者が自ら実施するシンプルリンパドレナージ(=セルフリンパドレナージ)や家族・介助者が実施するシンプルリンパドレナージが一般的に行われているのが現状である。しかし、その効果についてはエビデンスが不十分であり、意義、どのような患者・病態に必要か、などの適応や具体的内容、禁忌などを今後確立していく必要がある。

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4.リンパ浮腫治療における薬物療法

現時点ではリンパ浮腫単独に対する効果的な薬剤はない。進行再発期と緩和医療期では全身浮腫に対して、その病態に応じて種々の薬剤を使用する。

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5.用語の統一

本研修委員会においてリンパ浮腫治療に関する用語を統一した(これまで用いられてきた単語に併記も可)。

一般的に用いられている用語統一した用語
複合的理学療法、複合的治療、CDT,CDP,CPT複合的治療 または 複合的理学療法を中心とする保存的治療
※正確には「複合的理学療法」と同一の概念ではない(上記2参照)
徒手リンパドレナージ、リンパ誘導マッサージ、マニュアルリンパドレナージ、MLD、DLM用手的リンパドレナージ(MLDの和訳)         
セルフマッサージ、セルフリンパドレナージ、セルフドレナージセルフリンパドレナージ
シンプルリンパドレナージシンプルリンパドレナージ(SLDの和訳)
圧迫療法、圧迫圧迫療法
弾性着衣、圧迫着衣弾性着衣
バンテージ、弾性包帯弾性包帯
バンテージ療法、リンパバンテージ、バンテージ、bandaging多層包帯法(MLLBの和訳)、包帯法
圧迫下での運動、リンパエキササイズ圧迫下での運動
間欠的空気圧迫ポンプ、空気波動マッサージ器間欠的空気圧迫装置
間欠的空気圧迫療法、IPC間欠的空気圧迫法(IPCの和訳)
麦穂帯、8(の)字帯、8の字巻き、タケノコ巻き8の字帯(麦穂帯)

付加:「マッサージ」という用語は患者に誤解を招きやすいので、「ドレナージ」と表現する

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6.国際リンパ学会(ISL)による病期分類(和訳)

国際リンパ学会による病期分類(2020 Consensus Document of the International Society of Lymphology の和訳)
0期
リンパ輸送の障害や組織液比率の微妙な変化、自覚症状の変化にもかかわらず、腫脹がまだ明らかでない潜在性または無症状の状態である。
Ⅰ期
タンパク質の含有量が(静脈性浮腫などと比べて)、相対的に多い液体の早期の蓄積がみられ、患肢を挙上することで軽減する。圧痕が生じることがある。様々なタイプの増殖性細胞の増加がみられることもある。
Ⅱ期
硬い組織へとさらに変化が進み、患肢の挙上のみでは組織の腫脹が軽減することはほとんどなく、圧痕が明らかな状態を示す。
Ⅱ期後期
過剰な皮下脂肪と線維化が生じるため、患肢に圧痕がみられなくなることがある。
Ⅲ期
圧痕がなくなったリンパうっ滞性象皮症やアカントーシス(表皮肥厚)のような栄養性皮膚障害、皮膚の性質や厚さの変化、さらには脂肪沈着と線維化、疣贅状過形成が明らかになる。