リンパ浮腫診療の実態についての調査研究(調査2023年11月~2024年1月)
全国のリンパ浮腫診療について、実態の把握と各地域における診療ネットワークの構築および診療ネットワーク情報をわかりやすい形で公開することを目的に、全国のがん診療連携拠点病院・リンパ浮腫診療施設へのアンケート調査を実施しました。
本ページでは、その調査結果とともに、全国のリンパ浮腫診療を行う医療機関の情報を公開いたします。関係者の皆さまや医療機関の方々、また一般の方々にもご活用いただければ幸いです。
リンパ浮腫診療の現況とリンパ浮腫保存療法の地域格差に関する全国調査
背景
リンパ浮腫は患者のQOLに多大な影響を及ぼします。本研究では、日本のリンパ浮腫診療の現況とリンパ浮腫保存療法(複合的治療)の地域別実施状況を明らかにしました。
研究方法
全国の医療機関を対象にアンケート調査を実施しました。リンパ浮腫診療の現況はがん診療連携拠点病院とその他施設間で比較し、複合的治療の実施状況は日本を9つの地域に区分し分析しました。
結果
分析対象372施設においては、拠点病院とその他施設に関わらず、四肢の続発性リンパ浮腫に対する治療実施率95%以上、頭頸部や小児リンパ浮腫の治療実施率30%以下でした。複合的治療の実施状況は、各地域の人口当たり入院患者数の最少地域は最大地域の約2%、外来患者数の最少地域は最大地域の3分の1でした。
結論
浮腫の部位等によって、リンパ浮腫診療を受けられる施設を探すのが困難な状況がわかりました。また複合的治療については、外来治療は入院治療に比べ全国まんべんなく実施される状況でした。入院を要する複合的治療には地域格差があったことから、居住地域に関わらずリンパ浮腫診療が受けられる医療整備が求められます。
全国医療施設を対象としたリンパ浮腫外科治療の地域格差に関する調査
背景
がんサバイバーにとって、続発性リンパ浮腫は生涯にわたって続く合併症であり、その治療における地域格差の是正が急務となっています。本研究では、リンパ浮腫手術治療の地域格差を評価するため、全国の医療機関を対象としたアンケート調査を実施しました。
研究方法
日本の外科的治療施設を9つの地域に分類し、症例数の多い病院とそれ以外の施設に区分しました。地域ごとの人口当たりの手術件数の違いや、国際リンパ学会の臨床分類に基づいて症例数の多い病院とそれ以外の施設の手術適応基準の違いを解析しました。
結果
リンパ浮腫手術件数の人口当たりの数は、最も高い地域と最も低い地域間で17.4倍の差がありました。症例数の多い病院では、それ以外の施設に比べてリンパ浮腫の早期段階(臨床病期分類のstage 0及びstage I)において手術適応と判断する施設の割合が高いことがわかりました。
結論
本邦においては、人口当たりの外科治療件数に顕著な地域差が存在し、医療施設間で手術適応基準に差が存在します。適切な治療を多くの人々に実施するためには、今後、治療結果を評価する標準化された研究の実施が求められます。
