カウンセリングとは

 心にある問題や悩みについて専門的に相談に応じ、相談者が人間としての成長をしていくのを援助します。
 カウンセラーは、相談者がもつ問題の種類や性質によって、いちばん適切な方法を選んで対応します。それがどのような方法であれ、カウンセリングには、その人の心が安定し、現実の状況に適合した判断と行動ができるようにするのが目的です。
 カウンセリングを受けることによって、自分でも自覚していなかったような性格のゆがみに気づき、それを改善することによって、人間的な成長を遂げていく道が拓かれています。
 これまでの医学やくすりだけだは解決されない心の悩みや葛藤を癒すために、カウンセリングを受けてみるのはいかがでしょう。

カウンセリングで解決される心の問題とは

 心の問題といってもさまざまですが、およそ問題のない人はいないといっていいでしょう。つまり、”問題があること”が問題なのではなく、”その問題を解決するためにどのように対応するか”が問題であることが多いのです。自分には何の問題もないかのように思いこんだり、逆に小さな問題にも過剰に反応したりしてはいないでしょうか。
 このような人たちにとっては、自分がもっている問題がたとえ小さな問題であっても解決することが困難であるばかりか、かえって事態を複雑にしてしまうことさえあります。それは、表面に現れた症状の背後にもっと深い原因が潜んでいることがあるからです。そんな場合には誰かのアドバイスを受けて改善することは難しいことがありますし、場合によっては悪化することすらあります。
 いろいろと解決を試みてもなかなか改善しないときは、専門的なカウンセリングを受けることによって心の問題を取り除くように考えてみることをお勧めします。

問題がないと思われる人でもカウンセリングが必要な場合があります

 特別な問題がなくてもカウンセリングは有効です。たとえば、自分の性格の長所や短所をもっと知りたいとか、職業の適性、将来の計画(退職後の人生設計その他)等についてカウンセリングを受けることによって、将来生じるかもしれない問題の芽をあらかじめ摘み取ることができます。そしてまた、その自分の心理的・情緒的状態がどれほどのものなのかということを、専門家であるカウンセラーに客観的に判断してもらうのも心のいらざるトラブルを取り除くのに効果があります。
 もし心の問題がそれほど複雑なものでなければ一度のカウンセリングですむこともあり、よけいな心配をすることもなく安心できます。また、カウンセリングを受けたという経験は、今後何かの問題と直面したときには、いち早くカウンセラーと連絡でき、いたずらに解決の時間を長引かせなくてもすみます。

カウンセリングで扱う問題とは

 次のような場合にはぜひカウンセリングを受けることをお勧めします。

1.情緒の問題:

 うつと不安(心配)などの感情が自分の努力ではコントロールするのが困難となり、日常の生活に支障をきたしている場合

2.対人関係の問題:

 親子、夫婦、あるいは友人とか職場の人間関係に容易に解決できないものがあって、コミュニケーションがうまくとれないような場合

3.セルフコントロールの問題:

 アルコールを飲みすぎることからぬけきれない人、あるいは治したい習慣を断ち切れずに、自分ばかりでなく家族や仕事にまで影響を及ぼしている場合な

カウンセラーとは

 カウンセラーは、心の問題を扱う専門家です。人間の行動を倫理と臨床の両面から学び、トレーニングを受けます。日本ではまだカウンセラーの国家資格制度が確立していないため、学会等が資格認定を行っています。
 カウンセラーあるいは臨床心理士になるためには大学院で心理学もしくはその隣接領域の分野で修士課程を修了し、その後2年間のインターシップ(臨床実習)が必要です。
 心の問題は外面に現れた症状だけだは判断できないこともありますから、資格があるからだれでもよいというものではなく、自分の問題に合ったカウンセラーを選ぶことが大切です。他領域の専門家と協力し、全人的に関わってくれるカウンセラーが勧められます。